「婚姻届の書き方がわからない」「どこで手に入れるのか知りたい」「提出後の手続きはどうなるのか」「子供がいる場合の注意点は?」「外国人との婚姻はどうなるのか」といった疑問にお答えします。このページでは、婚姻届に関するあらゆる疑問を解消するため、入手方法から項目別の記入方法、必要書類、提出手順、よくあるミスやトラブルへの対応、婚姻後の手続きまでを徹底的に解説します。法務省や自治体の公式情報を基に、行政書士の視点から正確かつ実践的なアドバイスを提供します。2025年4月時点の最新情報を反映し、スムーズな婚姻手続きをサポートします。
婚姻届とは(概要と重要性)
婚姻届は、二人が法的な夫婦関係を成立させるために市区町村役場に提出する公的書類です。この書類が受理されると、婚姻が正式に成立し、戸籍に新しい夫婦関係が記録されます。日本では、婚姻は民法に基づく当事者の自由な意思による合意と届出によって成立し、宗教的な儀式や特別な手続きは法的に必須ではありません。婚姻届は、夫婦としての法的地位を確立する重要な第一歩となります。
婚姻届の記入内容は、戸籍、氏名、新しい本籍といった基本情報を決定します。正確に記入しないと不受理となり、手続きが遅れるだけでなく、後々の戸籍管理、行政手続き、相続などに影響を及ぼす可能性があります。婚姻は人生の大きな節目であり、法的な側面だけでなく、精神的・社会的な意味を持つため、慎重かつ正確に進めることが求められます。
法的背景
日本の婚姻制度は、民法第731条(婚姻適齢)、第739条(届出による婚姻の効力発生)などに規定されています。婚姻は、男性も女性も18歳になれば、父母の同意なく行うことができます(2022年4月1日改正法施行)。婚姻は両当事者および18歳以上の証人2人が署名した届書を提出することによって成立します。2025年現在、デジタル手続法の進展により、一部の自治体でマイナポータルを通じたオンライン申請が試験的に導入されていますが、紙の婚姻届が依然として主要な提出形式です。また、現行法では夫婦別姓は認められておらず、夫または妻のどちらかの氏を選択する必要があります(民法第750条)。
婚姻届の入手方法
婚姻届は、次の方法で入手できます。状況に応じて最適な方法を選んでください。
入手方法 | 詳細 | 注意点 |
---|---|---|
市区町村役場 | 戸籍窓口で無料で交付されます。一部の役場では夜間受付窓口や土日対応があります。 | 窓口で「婚姻届をください」と伝えると受け取れます。身分証明書は不要です。 |
法務省ウェブサイト | PDF形式でダウンロードできます(法務省公式サイト)。自宅でA3サイズに印刷する必要があります。 | A4サイズに縮小すると受理されません。原寸大で白い用紙に印刷してください。 |
コンビニ | マイナンバーカードを使用して、主要コンビニのマルチコピー機から有料(約200円)で取得できます。 | 自治体によって対応状況が異なります。事前に居住地の自治体で確認してください。 |
郵送請求 | 遠方の場合、役場に電話で確認し、郵送で依頼できます。 | 返信用封筒(切手貼付)と手数料(自治体により異なる)が必要です。 |
注意点
- 婚姻届の用紙は全国共通の様式です。一部の自治体ではキャラクター入りやデザイン性の高いものが用意されており、それらも法的に有効です。
- 感熱紙、裏紙、汚れた用紙は受理されません。必ず白いA3用紙を使用してください。
- ダウンロードした場合は、印刷設定で「100%」または「実際のサイズ」を選択し、縮小しないように注意してください。縮小すると受理されない可能性があります。
- 記念用の受理証明書を希望する場合、事前に役場に確認すると良いでしょう。有料の場合があります(約350円~1500円)。
婚姻の種類と必要書類
日本では、婚姻は「日本人同士の婚姻」と「国際婚姻(日本人と外国人、または外国人同士)」に大別されます。必要書類は状況によって異なります。
婚姻の種類 | 特徴 | 必要書類 |
---|---|---|
日本人同士の婚姻 | 日本人同士が婚姻する場合。最も一般的な形式です。 | 婚姻届(本人たちと**証人2人(18歳以上)**の署名)、本人確認書類、戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合) |
国際婚姻 | 日本人と外国人が婚姻する場合。相手国の法律も考慮されます。 | 婚姻届、本人確認書類、戸籍謄本(日本人のみ、本籍地以外に提出する場合)、外国人の婚姻要件具備証明書、パスポート、出生証明書(必要な場合)、各書類の日本語翻訳文 |
補足
- 本人確認書類: マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど、官公署発行の顔写真付き身分証明書が望ましいです。健康保険証なども可能ですが、複数提示を求められる場合があります。
- 戸籍謄本: 提出先の役場が本籍地でない場合に必要です。発行から3ヶ月以内のものを用意してください。(※法改正により将来的には不要になる可能性がありますが、2025年現在は原則必要です)
- 婚姻要件具備証明書: 外国人が母国の法律で定められた婚姻の条件(年齢、独身であることなど)を満たしていることを証明する書類です。相手国の大使館や領事館、本国の官公署で発行されます。
- 翻訳文: 外国語の書類には、誰が翻訳したかを明記した日本語の翻訳文が必要です。
- 国際婚姻の例:
- アメリカ: 州により異なりますが、「Affidavit(宣誓供述書)」が婚姻要件具備証明書の代わりとなる場合があります。
- 中国: 本国の公証処で発行された「未婚公証書」などが必要です。
- 韓国: 「基本証明書(詳細)」と「婚姻関係証明書(詳細)」で婚姻要件を確認します。
- フィリピン: PSA発行の出生証明書とCENOMAR(独身証明書)などが必要です。
- 未成年者の婚姻: 2022年4月1日以降、婚姻できるのは男女ともに18歳以上です。18歳未満の方は婚姻できません。
婚姻届の記入方法(項目別解説)
婚姻届は黒インクのボールペンまたは黒インクのペンで記入します。修正液や修正テープは使用できません。 以下に、各項目の書き方を具体例とともに詳しく説明します。
基本情報
項目 | 書き方 | 例 |
---|---|---|
届出日 | 役所に提出する日を西暦または和暦で記入します。この日が婚姻成立日となります。 | 2025年4月6日 or 令和7年4月6日 |
氏名 | 婚姻前の戸籍上の氏名を記入します。旧字体や異体字も正確に反映してください。 | 山田 太郎 / 佐藤 花子 |
生年月日 | 戸籍上の生年月日を西暦または和暦で記入します。 | 1995年1月1日 or 平成7年1月1日 |
住所 | 現在住民登録をしている住所を、マンション名や部屋番号まで詳しく記入します。 | 東京都新宿区西新宿二丁目8番1号 都庁第一本庁舎101号室 |
本籍 | 婚姻前の戸籍謄本に記載されている本籍を都道府県から番地まで正確に書きます。筆頭者名も確認してください。 | 東京都新宿区西新宿1丁目1番地 / 筆頭者 山田 一郎 |
父母の氏名 | 実父母の氏名を記入します。父母が婚姻中の場合は母の氏(姓)は記入不要です。亡くなっている場合も記入します。 | 父: 山田 一郎 / 母: 山田 美佐子 |
父母との続柄 | 実父母から見た続柄(長男、二女など)を記入します。戸籍謄本で確認してください。 | 長男 / 長女 |
婚姻後の夫婦の氏・新しい本籍
- 婚姻後の夫婦の氏: 夫の氏か妻の氏か、どちらかを選択し、✔を入れます。選択した氏の方が新しい戸籍の筆頭者になります(通常)。
- 例: 「夫の氏」にチェック → 夫婦は「山田」姓になる。
- 補足: 2025年現在、選択的夫婦別姓は導入されていません。
- 新しい本籍: 夫婦の新しい本籍地を、日本国内の実在する土地の地番であればどこにでも設定できます。夫または妻の現在の本籍地、新居の住所地などに設定することが多いです。
- 例: 「東京都渋谷区神南二丁目1番1号」
- 補足: 本籍地は住所とは異なります。戸籍謄本などの取得場所になります。
署名と証人
- 届出人署名: 夫になる人と妻になる人が、それぞれ自筆で署名します。2021年9月1日以降、戸籍法改正により押印は原則不要となりました。
- 証人: 18歳以上の成人2人が署名します。氏名、生年月日、住所、本籍を記入してもらいます。証人は、両親、兄弟姉妹、友人など、誰でも構いません。外国人でも可能ですが、その場合は本籍欄に国籍を記入します。
- 例: 「鈴木 次郎、1980年1月1日、東京都渋谷区1-1-1、本籍: 東京都渋谷区2丁目2番地」
- 補足: 証人は婚姻の意思を確認する役割を持ちます。夫婦となる二人自身や18歳未満の方は証人になれません。
その他
- 同居を始めたとき: 結婚式を挙げた日、または同居を始めた日のうち早い方を記入します。まだ同居していない場合は空欄で構いません。年月のみ記入します。例: 「2024年10月」
- 初婚・再婚の別: それぞれ初婚か再婚かを選択します。再婚の場合は、直前の婚姻について死別か離別かを選択し、その年月日を記入します。
- 同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯のおもな仕事と夫妻の職業: 国勢調査のある年度に提出する場合のみ記入します(通常5年ごと)。該当しない場合は記入不要です。
- 連絡先: 日中連絡可能な電話番号を記入します。不備があった場合の確認用です。例: 「090-XXXX-XXXX」
注意点
- 鉛筆や消せるペンは使用できません。黒インクのボールペンまたはペンを使用してください。
- 訂正する場合は二重線を引き、近くに正しい内容を記入します。訂正印は不要です。修正液や修正テープも使用不可です。
- 訂正箇所が多い場合は、新たな婚姻届で書き直すことをお勧めします。
- 外国人配偶者の場合、氏名の書き方(カタカナかアルファベットかなど)や必要書類について、事前に役場に確認してください。
- 婚姻届は受理後に原則として取り消しができません(無効事由がある場合を除く)。提出前に内容を十分に確認してください。
婚姻届の提出方法と注意点
提出先
夫または妻の本籍地、または所在地(住所地や一時的な滞在地)の市区町村役場に提出します。 海外にいる場合は、その国にある日本の大使館や領事館に提出することも可能です。
提出方法
- 窓口: 戸籍係に直接持参します。開庁時間(平日8:30~17:00が一般的)内に提出するのが基本ですが、多くの役所では時間外受付(夜間・休日)も行っています。時間外提出の場合、その場で受理はされず、翌開庁日に審査・受理されます。
- 郵送: 役場によっては郵送での提出も可能です。事前に電話で確認し、必要書類を同封して送ります。不備があると返送され時間がかかるため、注意が必要です。
- 代理人: 代理人による提出も可能です。ただし、届書の署名は必ず本人たちが行う必要があります。委任状は通常不要ですが、念のため役場に確認すると良いでしょう。
注意点
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)を持参してください(提出者のみ)。
- 国際婚姻の場合、外国人の必要書類(婚姻要件具備証明書、パスポートなど)や翻訳文が不足すると不受理になります。
- 時間外に提出した場合、届書に不備があると後日連絡があり、訂正のために役所へ行く必要があります。婚姻成立日は提出日(受付日)となります。
- 受理証明書(婚姻届を受理したことの証明書)が必要な場合は、窓口で申請します。有料の場合があります(約350円~1500円、種類による)。
よくある記入ミス
- 本籍地の番地や筆頭者氏名を間違える。
- 氏名の字体を間違える(例: 「渡邉」と「渡辺」、「齋藤」と「斎藤」など戸籍通りに)。
- 新しい本籍の地番が存在しない、または正確でない。
- 証人の署名や本籍などの記入漏れ、または証人が18歳未満だった。
- 届出日の記入漏れや未来の日付の記入。
婚姻届提出後の手続き
婚姻届が受理された後、新しい戸籍ができるまでには数日から1週間程度かかります。その後、様々な手続きが必要になります。
手続き | 詳細 |
---|---|
戸籍謄本の取得 | 新しい戸籍謄本(全部事項証明書)を取得します。パスポート申請や子の入籍手続きなどに必要です。 |
氏名の変更 | 氏が変わった方は、運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、銀行口座、クレジットカード、各種保険証などの氏名変更手続きが必要です。 |
住民票の変更 | 転居を伴う場合は、転出届(旧住所地)と転入届(新住所地)を提出します。同一市区町村内での転居は転居届。同じ住所で世帯を一緒にする場合は世帯合併届。 |
健康保険・年金 | 会社員等の被扶養者になる場合は、配偶者の勤務先で手続き。国民健康保険・国民年金の場合は市区町村役場で手続き(氏名変更、種別変更など)。 |
子に関する手続き | 夫婦の一方に連れ子がいる場合、その子を新しい戸籍に入れるには、家庭裁判所の許可を得て「入籍届」を提出する必要があります。学校への連絡も必要です。 |
その他の変更 | 不動産や自動車の登記名義変更、生命保険・損害保険の契約者・受取人変更、携帯電話の名義変更、印鑑登録などを状況に応じて行います。 |
補足
- 戸籍の確認: 新しい戸籍ができたら、内容(氏名、生年月日、続柄、本籍など)に誤りがないか確認しましょう。誤りがあれば役場に申し出てください。
- 子の戸籍移動: 婚姻により氏が変わった親の戸籍に、その連れ子を入れる手続きは自動では行われません。家庭裁判所で「子の氏の変更許可」を得てから「入籍届」を提出する必要があります。
- マイナンバー関連: 氏名や住所が変更された場合、住所地の市区町村でマイナンバーカードの記載事項変更手続きが必要です。署名用電子証明書は失効するため、再発行が必要です。
- 国際婚姻: 日本で婚姻が成立した後、配偶者の母国の大使館や領事館にも報告的届出が必要な場合があります。配偶者の在留資格(ビザ)の変更・更新手続きも忘れずに行いましょう。
よくある質問(FAQ)
質問 | 回答 |
---|---|
二人揃って提出する必要がありますか? | いいえ、どちらか一方、または代理人による提出も可能です。ただし、届書への本人たちの署名は必須です。 |
証人は親族でもいいですか? | はい、18歳以上の成人であれば、親族、友人、知人、誰でも構いません。届出人本人や18歳未満の方は証人になれません。 |
婚姻の受理までどのくらいかかりますか? | 書類に不備がなければ、窓口提出の場合、その場で受理されることが多いです(時間外受付除く)。戸籍への反映は数日から1週間程度かかります。急ぐ場合は役場に相談してください。 |
外国人との婚姻はどうなりますか? | 日本の法律に基づいて婚姻届を提出し受理されれば、日本の法律上は婚姻が成立します。その後、相手国への報告的届出が必要な場合があります。必要書類や手続きは国によって異なります。 |
書き間違えた場合はどうすればいいですか? | 二重線で訂正し、近くに正しい内容を記入してください。訂正印は不要です。修正液・テープは使用不可。訂正が多い場合は新しい用紙に書き直しましょう。 |
新しい本籍はどこにすればいいですか? | 日本国内の実在する地番であれば、どこでも自由に設定できます。住所と同じにする必要はありません。 |
連れ子の戸籍はどうなりますか? | 婚姻届を提出しただけでは、子の戸籍は元のままです。新しい夫婦の戸籍に入れるには、家庭裁判所の「子の氏の変更許可」を得てから「入籍届」を提出する必要があります。 |
マイナンバーカードはすぐ更新が必要ですか? | はい、氏名や住所が変更された場合は、速やかに記載事項の変更手続きを行ってください。手続きをしないと、身分証明書として使えなくなったり、行政サービスに支障が出たりする可能性があります。 |
婚姻届を取り消せますか? | 原則として、受理された婚姻届を取り消すことはできません。婚姻関係を解消するには、離婚の手続きが必要です。ただし、詐欺や強迫など民法上の無効・取消事由がある場合は別です。 |
国際婚姻で書類が足りない場合は? | 婚姻要件具備証明書やその翻訳文などが不足していると、婚姻届は受理されません。事前に必要書類を大使館や役場に確認し、すべて揃えてから提出してください。 |
トラブル時の対処法
- 相手が署名を拒否する場合: 婚姻は双方の合意が前提です。相手の意思がない場合は婚姻できません。話し合いを進めてください。
- 勝手な提出を防ぐ方法: 自分の知らないうちに勝手に婚姻届を出される恐れがある場合、事前に「不受理申出」を役場に提出しておくことで、自分が窓口に来ない限り届出を受理させないようにできます。
- 不受理になった場合: 本籍誤り、証人署名漏れ、国際婚姻の書類不足などが原因です。役場で理由を確認し、不備を修正して再提出してください。
- 国際婚姻のトラブル: 書類不備、翻訳ミス、手続きの複雑さなどで困った場合は、相手国の大使館や、国際家事事件に詳しい専門家(弁護士や行政書士)に相談しましょう。
- 婚姻後のトラブル: 戸籍反映の遅れや誤りがあれば、速やかに役場に確認してください。
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